2009年11月25日

『ジャングル大帝』

 クラシック音楽にマニアに近い興味を持っているクリエータというのはあの時代、多かったのでしょうか。西崎プロデューサーもそうでしたが、松本零士のワーグナー好きはつとに知られているし、手塚治虫も相当なマニアだったそうですが。
 …そんな話を、当時、ご一緒に仕事をしていらして『ジャングル大帝』ほか、手塚アニメの素晴らしい多くの音楽をも書かれた冨田勲さんにインタビューして沢山、お聞きしました。
 手塚さんはけっこうピアノも弾かれたようですね。詳しい人は多くても、当時で「弾く」とこまで行く人はさほど多いとは思えません。譜面は普通にすらすらと読めたらしくて、それが良し悪しなところがあったと冨田さんは仰ってる…なんてエピソードも記事には入れてあります。>>『アニメージュ Original』Vol.5 「音楽からみた手塚アニメの真髄」

COZX-411-2_leo_k.jpg(c)手塚プロダクション

『ジャングル大帝〜白いライオンの物語〜』
COZX-411-2

 コロムビアからの話で実現したインタビューでしたので、喜んでやらせていただきました。冨田先生は憧れの御大でしたし、もう本当に、レオの音楽といったら子ども心にどれだけインパクトがあったことか。またシンセサイザーの先駆としてドビュッシーの『月の光』や、ホルストの『惑星』を聴いた時の衝撃は忘れられないものがあります。
 それで、この60年代に発売されたLPが新録音で10月にリリースされた、というわけです。例によって譜面が失われていて、あるアマチュアの楽団が耳コピして書き起こした譜面を元に、冨田先生は全部、オーケストレーションし直されたそうです。それでちょっと夏の間、体調を崩されたりもしたらしい。

 このアルバムは、CDとDVDがセットになっています。録音はHi-クオリティで、素晴らしく良いですが、綾戸智恵さんのナレーションが賛否両論かもなぁ、好き嫌いはあるだろうな、というのが実感。
 まず関西弁と。それから台本。アニメのあのシーンが頭に残っている世代には若干抵抗がありましたが(声優さんにやっていただいて、「ピーターと狼」みたいにしたらどうだっただろう?)、初めて聴く親子さんには案外良いかもね、という気持ちもします。
 もちろんこのアルバム、“学芸部”の制作で、エンターテインメント部署じゃないんですね。楽器の紹介はじめ、教育的要素がたくさん詰まっている。そういった意味では、とても面白いアルバムです。

posted by rain2009 at 18:45| Comment(0) | cd_dvd | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする