2016年11月03日

最近、東京藝大にご縁がある。>話題の本

 近頃、身内のFacebookで音楽関係者に話題なのが、「最後の秘境 東京藝大--天才たちのカオスな日常」という二宮敦人さん著の本。タイトルとブックデザインがあまりに面白そうだったので、つい、すぐAmazonからポチしてしまい、11/3に届くとあったので朝から何度も郵便受けを見に行ってしまった。
 新書や文庫でない本を買うのは(場所をとるので)珍しく、読みたいと熱望した本も珍しい。まぁこれがソフトカバーでなくてハードカバーだったら買うのは躊躇したかもしれないけど(<本屋のこだわり・笑)。

 案の定、手にした本は、(S社の本には珍しく)読みやすくて、一気読みしてしまった。2時間かかってないんじゃないか? 夜、帰ってから読もうと思っていたのだが、たまたま寝込んで家にいたので、ご飯に起きた際に一気に読んでしまったというわけ。
 ちなみに、お値段は税込みで1,512円だが、Amazonポイントが1600円くらいあったので、珍しくタダよ。わーい。なんかお得感が漂う。

 それで、身内で盛り上がっていたのも、普通の人には“憧れ”だったり“不可思議なもの”だったりする藝大だが、我々にとっては、さほど遠い存在ではない、ということだ。
 たまたま今号の本誌が、藝大小特集のような内容(新学長・澤先生が表紙だったりArtist Close-upだったり、早期プロジェクトの取材をしたり、でここんとこやたら通称“上野の森”へ通っているためもある。おまけにそこの卒業生とはわんさと付き合いがあるし、現役の先生たちやらもよく知ってるし、音校はもちろん、美校の卒業生だって知り合い(主にデザイナー方面ね)に、少なからずいる。そこから聞いたエピソードやら、実際に美校をこのあいだ歩いて、ぜ〜んぶ(今の)学校を見学してきたとこだったりもする。藝祭もあったもんね。

 という程度には世間様とは認識はずれているのだろうきっと。
 かの『のだめカンタービレ』が流行したときも、音大生や音楽関係者の反応は、世間様とはだいぶ違っていた。だからといって面白がらないわけではなく、独特の捉え方をしている・・・知り合い弄ってて面白いな的な。あとは「そうかぁこういうところが面白いと思うのか」という感想を持つというか。
 これは、以前の編集部で「音大特集をしよう」と何度か話し合ったり実際に行ったりした時に、音大関係者とそれ以外関係者との(同じ編集部員の)温度差にもつながっています。あるベテランアマチュアの、「音大って憧れがあるじゃないですか」発言には本気でびっくりして、「お、音大って”憧れる”とこなんすか?(あなたは、そんないい大学行ってたのに???)」・・・いやもちろん、音楽を将来やっていこうと考える少年少女が、殿堂だったり一流だったりブランドだったりする名のある音大や芸大に憧れるのはわかりますよもちろん。自分だって覚えがあるし、田舎の高校生にすぎなかった自分としては、「あぁ一日中、音楽しててよくて専門教育も受けられるガッコがある、しかも大学! で、すごく有名な先生'sにも直接習えちゃったりするんだ!」ていう方面の憧れは確かにありましたが。。。一般の、趣味で音楽をやれちゃってしまう人々が、音大に憧れる、なんていうのは、私にとっては、目からウロコというか、逆にびっくりな事実だったんですね。

 確かになー、男子にとっては、おじょーさま(除:自分たちのような貧乏庶民学生)できれーでピアノなどの楽器が上手くて、、な人は確かに憧れなのかもしれないね、うん。とか納得したりもしましたが。。。

・ ・ ・

 ということで、さっそく一気読み。
 最初は、面白くて。。。さすが小説家の筆致! 読ませるねぇ。というか、いちいち作者の驚き(妻が現役芸大=美校生)が新鮮。なるほど、驚くのはそこかー! という感じです。
 でもさすがに読み進めると、美校、半端ない! もちろん、話では知ってましたし、上野動物園のエピソードは知人からもリアルに聞いてたし(ペンギンを凍らせた話じゃなくて、動物園に柵越えて乗り込んでデッサンしてた話とか、「ホモ・サピエンス」の看板を作った話とかだけど)、実際の美校キャンパス内は、そのまんま森の中に工場が建ってる感じの校舎だし、、、でも、すごいな実際。
 音校の方は、出てきた人がまた極端に一部な気もしますが、まぁほとんどが「あるある」の範囲で、さほど以外でもなかったけど、新学科二つは相当に”先端”だということもわかったし、、、そりゃ一般社会に適応していく人々から見れば、奇人変人なんでしょうねぇ。

 ということで、「これでもか!」と提出される極端な例に、ちょと中だるみはする。なぜなら、ドキュメンタリーは初めてという著者は、手法を会議室や喫茶店でのインタビューをメインにしているらしいから。その人たちの活動の場でライヴや住んでるところや、先生方のところへも訪ねているのだけれど、そっちをもっと書き込んでもらうと面白かったかも。でもきっと、読む人(この場合、書く人も)は、聞く話の方が面白かったんでしょうね。

 じっくり取材した、しかも最近。つい先日、芸大の学長は38年ぶりに音楽学部に明け渡され、名物学長だった方は、さらに上に行ってしまわれた。いや文中にも出てくるけれど、この学長さんもすごいひとだったらしい。あとを受け継いで、がんばれ! S先生‼︎
 そして迎える藝大祭。最後の章のまとめに向かう中、音楽学部と美術学部の連携が語られる。

 ここは個人的に、涙するところですね。
 私立の「音楽大学=college」という単科大学へ進学した自分は、本当は総合大学である芸大に行きたかった(東京藝大じゃないけどね)。芸術とは、すべからくすべてがリンクしているもので、音楽だけ、美術だけ知っていても成立しない、と思うから。うちの当時の学長が力説していたけど、「本当に芸術を振興しようと思ったら、東京大学や京都大学に音楽学部や芸術学部を作るべきだ」だった。確かに設備も必要だし特殊だし、一般大学よりはるかにお金がかかるから、総合大学に作るのはかなり大変だけど、、、だからこそ官費でとも思う。
 ギリシャ時代、芸術が生れた時、それは数学や哲学と同位でともに学ばれた学問だったはずだ。現に、音楽も美術も、幾何や天文や語学や物理や、多くの学問と切っても切れない関係にある。
 そして、違う感性を持つ天才同士は、出会えば新たなインスピレーションを得るだろう。芸大が最近取り入れたというミスコンのビデオを見たことがあるが、なかなか面白いアイデアだ。企画し作り演じるが一体となったもので、これは芸大らしいといえるんじゃないだろうか。
 異質なものが存在し、それに学生時代に思い切り触れられるのも学問の場だろうな〜。しかも彼らは学生の間から、プロの世界ともシームレスだ。

 私にとっては、芸大・・・というと具体的に多くの人の顔や名前の浮かぶ場である。いろいろな世代の、いろいろなジャンルの。「全国書店で売り上げ1位」という帯のキャッチはすごいなと思うけど。
「入試倍率は東大の3倍」とあったけど??? もっと激しかったんじゃなかったっけ。高校の先輩で、「音楽の勉強するには東京に行かないといけないけど、金銭的にも私立は無理。芸大に入るのは難しいから東大いく」ってがんばってほんとに入っちゃった人が2人いるけど、2人とも今、音楽の世界でそれなりに活躍中だ。

 意外に真面目に読める本です。

 最後の秘境
 東京藝大 天才たちのカオスな日常

 新潮社刊 二宮敦人:著

・・・あ別に、新潮社さんからは何も貰ってません(笑)。
posted by rain2009 at 16:45| Comment(0) | books | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月14日

♪ある脚本家の著作:藤川桂介さんの著作本

 此処を覗いていtだいている方々で、この方の名前をご存じない方はいらっしゃらないのではないかと思ったりもいたします。脚本家として数々の名作を生み出された藤川桂介さん。私が「宇宙戦艦ヤマト」に夢中になったのも、この方の書かれる脚本(ほん)があったなればこそ、でもありました。
 その後、小説もものされて、『宇宙皇子(うつのみこ)』について感想をお送りしてから、ご丁寧にお返事をいただき、テレビ界から身を引かれて後の去就も拝見するにいたっております。

 京都の大学で週に何日かを教えはじめ、「後進を育てることも使命かと思い」と書かれた文面を拝見して、前後の文章も読み、ひどく感動いたしました。短い文章の中にお人柄が透けて見えるようで、なおかつその底辺に脈々と流れる血潮といいますか、それがやっぱりクリエーターといわれるお人たちにはあるのだなぁ、とただただ尊敬の思いを深くしています。

 それから五年が経ちました。
 私があまりに不精でして、ここ数年は年賀状もほとんどどこにも出さず仕舞い、、、それに連れて多くの方々との交誼を失いつつあるようです。
 というのも3年前まではまだ良かったのですが、ほとんど仕事してませんのでね。著作がないと、なかなか「今年これやりました、来年もどうぞよろしく」とは言えないものでして(^_^;)。物書きとしては当然でございましょう。月刊誌をぼちぼち、ではいかんがな。

 話がズレましたが、それで久々にご連絡をいただきましたのが「著作の刊行」のご案内でしたです。
 9月20日売りで、淡交社、という京都の出版社から、京都を探訪した作品のようです。
ご紹介するのは入手してからとも思いましたが、先駆けて紹介しておきます。
 ご本人の著作紹介文の一部によりますと、
 「小説ではなくドキュメント風の読み物として書いてみることにしたのです。わたしの新たな試みです。兎に角知識を頼りにした京都案内本でなく、出来る限り筆者が史跡を確認しながら、私独特の視点で推理してまとめたものです。これまでの京都案内本には触れられていないことを発見したのが、この著作物の見どころだと思っています。平安京を推理しながら追及していくうちに、新たな発見に辿り着くという面白さがあると思っています。仮想現実の手法も使いながら、工夫してみたつもりですが新ジャンルに挑戦、ということで。」

 ということで、私自身もたいへん楽しみにしています。地方出版社ということもありますので、もし書店になければ取り寄せしてくださいね。
 ちなみに現在、教鞭を取っておられるのは「京都嵯峨芸術大学:メディアデザイン学科」でいらっしゃいます。その講義の前日を利用して、三年間丹念に調べられたものだということです。

 9月20日発売
 『幻視行 月の都、京都(平安京をめぐる旅)』
 著 者:藤川 桂介 淡交社刊 A5版 1,600円

 読んだらまた感想など記したいと思っています。
posted by rain2009 at 21:51| Comment(0) | books | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月23日

新刊案内:ペンギンの生態と実際

 お友だちの本の紹介もしていきたいと思っています。
 物凄く早く企画は通った(即買い、と編集長曰く)のに、出版計画に則り、やっと出ました! という“ペンギンの本”です。
 著者は上智大学物理学科出身のサイエンスライター(とはいえ専門は昔取った杵柄の光、ではなく文化人類学ですが)氏。意欲的に活動していて近年、積極的に著作が書棚に並んでいます。

 昔から仕事仲間で先輩。文章の上手さでは知人の中で三指に入ります。科学書ですが、ペット書でもあり(本人はインコの専門家なのですが)。ペンギンを“ペット”といえるかどうかは別として、地球の反対側で氷に閉ざされた中を歩くペンギン!! あぁなんとカワイイのでしょう。。。
 ということで、新刊のご案内です。(画像をください>ご本人)
 Amazonから読み込もうと思いましたが、まだこのblogシステムに慣れておらず、うまくいきませんでした。とりあえず、下記リンクから飛んでみてくださいませ。左リンクページの「ソフトバンク・クリエイティヴ」からも行けます。

 『みんなが知りたいペンギンの秘密』
 著:細川 博昭 発行:ソフトバンク・クリエイティヴ
 「サイエンスアイ新書」11月17日

 ★なぜペンギンは北半球に居ないのか? 寒さが苦手なペンギンもいる!? ペンギンにまつわる疑問や基礎知識を、豊富な写真と詳細な取材と知識で書く新書。

 まだ読んでません、これから購入してまたご紹介したいと思います(_ _)。でも素材は見せてもらったことがあるし、サムネールも見た。面白いですって、絶対(^.^)。
posted by rain2009 at 17:10| Comment(0) | TrackBack(0) | books | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする