朝早くから何度も目が覚め、結局、いつもの時間にむっくり起き上がって、浅草橋へ。
いや、そっちはいいんですけど。前職(フリーの頃の)と関係があるだけで・・・むはは。ちょとしたお小遣い稼ぎもしたりし、昼過ぎに鎌倉方面行きの列車に乗る。
朝、FBを見たら、オーケストラ仲間のオトモダチが本日本番だそうな。やたらに本番の多いヒトなので、それ自体は珍しいことではないのだが、おまけに遠い(JR線の大船である)から、なんとなく見流そうと思ったら、曲とソリストの名前を見て、目がテンになった。
シベリウスの《フィンランディア》と協奏曲と、ドヴォルジャークの交響曲第7番ですとっ!? おまけにソリストがN響の白井篤さんっ‼︎
白井さんは、実は弊誌ではお世話になっている。クレバーな頭脳と天下のN響で第2ヴァイオリンの頭(現在は首席代行)を務めてこられたバランス感覚と、超絶うまい腕前、そしてお人柄といいますか。それにアマチュアにも分け隔てのないご指導などで人気です。「はまのJack」の頭を貼ったり(<違)、横浜の会館で月イチのコンサートなど、アクティヴにご活躍中。
アマチュアの演奏会を聴きにいくのは超久しぶりです。というのもお仕事コンサートだけでも日に3つも4つも重なって選ばなければならない&土日もほとんど入る、というのがあって、なかなかオトモダチのコンサートに行けない(ごめんね皆様)。
この日はたまたま、動けたのと、実は白井さんは10/18にリサイタルをされて、ご招待いただいていたのに、絶賛校了中のWで行けなかったんですね。だからそのリベンジというわけ。
《フィンランディア》は予測通りで楽しませていただき、いよいよ協奏曲。
最初の音が出た途端、ぞっく、としましたですね。弦の音の1音1音がこんなに響くものか、と。けっしてfでなど弾いているわけではない。だけどなぜこんなに響く・・・というか通るんでしょうね。オーケストラも、あの空気感をよく出していて、なかなか見事にシベリウスでした(出だしは)。
美しいなーなんて美しい音色なんだろう。
そう思えるこの協奏曲は幸せです。
コンクールで弾かれることが非常に多いから、若い人たちの達者な演奏も昨年から本当にたくさん聴いているのですが、技術的にはもちろんバッチリの(すげー上手い)上に、なんというか色味、のようなもの。弾き方というのも目的によって異なるのですねぇ。
この緑交響楽団は、年代の幅も広くて、おそらくベテランも多いのでしょうか。時折音楽が停滞することはあっても、拍感のしっかりしたオーケストラだと思いました。和声感も意外にあって、ときどきとても気持ちの良い音が鳴る。少なくとも、シベリウス、という空気感が感じられ、昨年、とても大好きになったフィンランドの地を思い起こすことができました(でも、冷たい空気感はないかな・・・仙台フィルと比べちゃいけません)。
ともあれ、プロフェッショナルなオーケストラの方がソリストに立たれる時というのは、独特の安定感がありますね。ソロ一直線の方の時のような緊迫感はないのですが、アマチュアにとっては、素晴らしい導き手だろうと思いますし、オケの音の隅まで熟知されているソリスト、というのもそりゃもう素晴らしい。中に入っていかれる時と、そこから突き抜けてソロが歌うところ、そんなかけあいがとても美しかった。
テンポちょっと、ゆっくりめで辛そうな場所もありましたが、それは指揮者の好サポートで。
ドヴォルジャークは皆さんの気合と自由さが伝わってきて、弾くことが幸せなんだな、私もまた弾きたいな(ってこの曲、弾いたことないんで弾きたいですー)と思わせてくれる演奏でした。
アンコールがまた! 涙。ここで《アンダンテ・フェスティーヴォ》ですか? そんなー。ずるいですー、ってついにここで涙腺決壊。またフィンランドに行きたいなー、ヘルシンキやハメンリンナの森よ川よ湖よ! うわーん、懐かしいよー。
弦楽器がこれほど美しく鳴る音楽をほかには多くは知りません。素晴らしい曲ですね。
ちなみに白井さんは、ドヴォルジャークもセカンドの真ん中に座って、楽しげに弾いておられました。素晴らしいですね。休憩時間に下記の写真を撮りにうかがったら、「これからが、本職だ」と笑っておられましたが。うん、さすがに光っていました。いいなーセカンドの皆さん。
ちなみに私も実は、一度だけご一緒に弾かせていただいたことがあります。プロアマまぜまぜのオーケストラに、ゲストコンマスで来ていただいたのでした。その時、初めてお会いしたのでしたね、マーラーの4番を弾いたんですが。。。リベンジしたいですっ(笑)。マーラーの4番のリベンジは、先日、Qさん楽団で素晴らしい演奏体験をさせていただき、とても幸せだったので、もういいですけど(^_^)。
選曲も素晴らしく、オーケストラの雰囲気も好い感じ。エキストラの方しか知人はいない知らないオーケストラですが、また聴いてみてもいいなと思って横浜を後にしました。
(それでも19時には家に帰れたから、ゆっくりできた日よね)
白井さん
会場の鎌倉芸術館
指揮者の和田一樹さん