2016年10月31日

シベリウスの協奏曲を聴く

 前日の土曜日。。。日曜日の予定をどうしよう? と考えつつ眠りにつき、「具合悪かったら休もう」と思って開けた日曜日。
 朝早くから何度も目が覚め、結局、いつもの時間にむっくり起き上がって、浅草橋へ。
 いや、そっちはいいんですけど。前職(フリーの頃の)と関係があるだけで・・・むはは。ちょとしたお小遣い稼ぎもしたりし、昼過ぎに鎌倉方面行きの列車に乗る。

 朝、FBを見たら、オーケストラ仲間のオトモダチが本日本番だそうな。やたらに本番の多いヒトなので、それ自体は珍しいことではないのだが、おまけに遠い(JR線の大船である)から、なんとなく見流そうと思ったら、曲とソリストの名前を見て、目がテンになった。
 シベリウスの《フィンランディア》と協奏曲と、ドヴォルジャークの交響曲第7番ですとっ!? おまけにソリストがN響の白井篤さんっ‼︎

 白井さんは、実は弊誌ではお世話になっている。クレバーな頭脳と天下のN響で第2ヴァイオリンの頭(現在は首席代行)を務めてこられたバランス感覚と、超絶うまい腕前、そしてお人柄といいますか。それにアマチュアにも分け隔てのないご指導などで人気です。「はまのJack」の頭を貼ったり(<違)、横浜の会館で月イチのコンサートなど、アクティヴにご活躍中。

 アマチュアの演奏会を聴きにいくのは超久しぶりです。というのもお仕事コンサートだけでも日に3つも4つも重なって選ばなければならない&土日もほとんど入る、というのがあって、なかなかオトモダチのコンサートに行けない(ごめんね皆様)。
 この日はたまたま、動けたのと、実は白井さんは10/18にリサイタルをされて、ご招待いただいていたのに、絶賛校了中のWで行けなかったんですね。だからそのリベンジというわけ。

 《フィンランディア》は予測通りで楽しませていただき、いよいよ協奏曲。
 最初の音が出た途端、ぞっく、としましたですね。弦の音の1音1音がこんなに響くものか、と。けっしてfでなど弾いているわけではない。だけどなぜこんなに響く・・・というか通るんでしょうね。オーケストラも、あの空気感をよく出していて、なかなか見事にシベリウスでした(出だしは)。
 美しいなーなんて美しい音色なんだろう。
 そう思えるこの協奏曲は幸せです。
 コンクールで弾かれることが非常に多いから、若い人たちの達者な演奏も昨年から本当にたくさん聴いているのですが、技術的にはもちろんバッチリの(すげー上手い)上に、なんというか色味、のようなもの。弾き方というのも目的によって異なるのですねぇ。

 この緑交響楽団は、年代の幅も広くて、おそらくベテランも多いのでしょうか。時折音楽が停滞することはあっても、拍感のしっかりしたオーケストラだと思いました。和声感も意外にあって、ときどきとても気持ちの良い音が鳴る。少なくとも、シベリウス、という空気感が感じられ、昨年、とても大好きになったフィンランドの地を思い起こすことができました(でも、冷たい空気感はないかな・・・仙台フィルと比べちゃいけません)。
 ともあれ、プロフェッショナルなオーケストラの方がソリストに立たれる時というのは、独特の安定感がありますね。ソロ一直線の方の時のような緊迫感はないのですが、アマチュアにとっては、素晴らしい導き手だろうと思いますし、オケの音の隅まで熟知されているソリスト、というのもそりゃもう素晴らしい。中に入っていかれる時と、そこから突き抜けてソロが歌うところ、そんなかけあいがとても美しかった。
 テンポちょっと、ゆっくりめで辛そうな場所もありましたが、それは指揮者の好サポートで。

 ドヴォルジャークは皆さんの気合と自由さが伝わってきて、弾くことが幸せなんだな、私もまた弾きたいな(ってこの曲、弾いたことないんで弾きたいですー)と思わせてくれる演奏でした。
 アンコールがまた! 涙。ここで《アンダンテ・フェスティーヴォ》ですか? そんなー。ずるいですー、ってついにここで涙腺決壊。またフィンランドに行きたいなー、ヘルシンキやハメンリンナの森よ川よ湖よ! うわーん、懐かしいよー。
 弦楽器がこれほど美しく鳴る音楽をほかには多くは知りません。素晴らしい曲ですね。

 ちなみに白井さんは、ドヴォルジャークもセカンドの真ん中に座って、楽しげに弾いておられました。素晴らしいですね。休憩時間に下記の写真を撮りにうかがったら、「これからが、本職だ」と笑っておられましたが。うん、さすがに光っていました。いいなーセカンドの皆さん。

 ちなみに私も実は、一度だけご一緒に弾かせていただいたことがあります。プロアマまぜまぜのオーケストラに、ゲストコンマスで来ていただいたのでした。その時、初めてお会いしたのでしたね、マーラーの4番を弾いたんですが。。。リベンジしたいですっ(笑)。マーラーの4番のリベンジは、先日、Qさん楽団で素晴らしい演奏体験をさせていただき、とても幸せだったので、もういいですけど(^_^)。

 選曲も素晴らしく、オーケストラの雰囲気も好い感じ。エキストラの方しか知人はいない知らないオーケストラですが、また聴いてみてもいいなと思って横浜を後にしました。
(それでも19時には家に帰れたから、ゆっくりできた日よね)

白井さん
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会場の鎌倉芸術館
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指揮者の和田一樹さん
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posted by rain2009 at 23:57| Comment(0) | music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月28日

ドイツの縁ある人々によるアンサンブル(LCP at 東京文化会館)

 ルートヴィヒ・チェンバー・プレイヤーズというグループがあり、日本とドイツで熱心に活動している。
 “熱心に”というと語弊があるかもしれない、同じオーケストラの楽員がベースで、仲の良い(尊敬し合える)人たちがアンサンブルのチームを作って、年に2回ほど、ドイツ国内や日本でツアーを行っているのだ。
 基本的に手弁当から始まったが、お客さんは一度聴くと、多くがリピーターとなり、応援してくれる人も増えてきて、制作も入っての、今回の東京は文化会館公演だった。ぶらっぼー。

 彼らはベートーヴェンの七重奏曲を演奏するために組んだ。だから名前は「ルートヴィヒ」だったり。もちろんその編成の曲は多くないから、組み換えをしていろいろやる。ヴァイオリンは+1人、オーボエ+1人の、デフォルトのメンバーがいる。
 拠点にしているオーケストラはシュトゥットガルト放送響だ。日本人は、白井圭(Vn)、横坂源(Vc)、幣隆太朗(Cb)がコアメンバー。Va、Hr、Fg、Clがドイツ人。共通語はドイツ語っぽい。幣くんは楽員だし、横坂くんもひところ首席客演チェリストとして出入りしていたから昔馴染み。白井さんには、彼らが互いに惚れ込んで、いっしょに演奏するようになったのだという。
 ともかく聴いてるだけで顔がほっこりしてくるような楽しさ。音楽の楽しさ。演奏技術が遥か高みにあるため、難しいとか表現がどうとか、考えなくて済む。酔ってられる、というので、応援する人たちは、皆、ビョーキのように応援してしまう。若くてパワフルで、音楽的で。

 友人2人をチケット買わせて連れていったのだけど、彼女たちも大喜び。CDその場で買って、サイン貰ってたのもいたし(笑)。せいぜい一緒にハマりましょう♪
 サイン会も長蛇の列でした(_ _)。

 いい夜だったなぁ(^_^)。・・・残念ながら、会社に戻らなくちゃならなくて、のんびりお酒も楽しめなかったのが残念。
posted by rain2009 at 00:27| Comment(0) | TrackBack(0) | music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月27日

ワタクシ的《第九》

 記録、の方へ入れるべきかもしれませんが、12月26日(土)17時半、東京オペラシティにキエフ国立交響楽団の《第九》を聴きに行ってきました。
 きっと素敵な演奏が聴けるだろうと期待していったのですが、その通り。なんというのでしょうか、爽やかで見通しのよいベートーヴェン、を聴かせてもらいました。合唱団とソリスト、要するに歌関係が素晴らしかったので、余計にストレスがなかったのです。なんか感動。

 さて12/25(金)に新刊が上がってまいりまして、表紙を変えたので、ずいぶんイメージが変わったなぁと思われる方も多いと思います。火曜日店頭に並びますが、表紙は三浦文彰くん(ヴァイオリニスト)です。ロゴはおんなじですし、中身はとっても詰まっている号だと思います。前号に負けません。

                  ・・・
 年末は第九・・・って悪い習慣じゃないと思います。少なくとも、高校2年生の時に、初めて第九の楽譜に触れて、毎週、放課後に合唱部の仲間と福井大学まで練習に通い、マスターしておいてよかったなぁ。とか東京に出てきて思いました。
 第九との関わり、といえば多くの人がいろいろな思いを持っていると思います。日本のプロの方は、ものすごくたくさん関わるにちがいない(歌手もオーケストラも)と思いますが、アマチュア演奏家にとってもいろいろとあるでしょうね。友人たち・・・のベテランのアマチュアオーケストラ弾きの方々は、第九といえば「弾くもの」らしいですし。弾いたことない人にとってはやっぱり「一度は弾きたいもの」だったり、合唱する人にも「一度は歌いたいもの」らしい。たしかに名曲中の名曲といっても過言ではありません。

 私は10代に合唱から入ったものですから、第四楽章しか興味がなかったのですが、CDで聴いたり、指揮の勉強をしたりして付き合ってみると、どうやらそれはマチガイのような気がしてきました。それを実感するのは、自分がアマチュアオーケストラに入って、《第九》というよりはベートーヴェンの交響曲第9番として演奏する時を待たなければならないのですが。
 80年代、音大生の頃は、バイトでよく歌いに行ったのが懐かしい思い出です。歌うの好きだったな〜。暗譜しておくと、いろいろメリットがあるんですよ。学生掲示板に案内が出ていると、すぐに連絡をして、些少のバイト代を糧に歌いに行く。これは本当に嬉しかった。音楽がお金になる、というのはプロを目指していた田舎者には嬉しいことだったんです。しかも歌うこともできる、時にはお弁当代も出る(笑)。貧乏学生には本当にありがたかったし、冬の寒さに心温まる機会でございました。
 これにはちょっとしたコツがありまして、ピアノ科学生だというのはナイショで(笑)。言わなければわかりませんです。要するにきちんとお金貰った分、声を出して、皆さんのお役に立つように歌えればいいんですから。・・・そのくらいの自覚はございましたね、当時は。ゲネ・本で1回5,000〜6,000円だったと思います。

 長じて、アマチュアになってからもけっこうエキストラとか行きました。それはさすがにお金は貰いませんでしたが、交通費とお弁当はありがたくいただいてました(ま、普通でしょう)。

 オーケストラに転じてから、初めてオケで弾いて「うっひゃ〜〜」というくらい難しかったです。最初の数年は、自分に「第九禁止」をしていまして、とても難しい曲なのだから、ベートーヴェン様に失礼だろう、と弾かないようにしていたんです(降り番したこともあります)。ただ、やっぱり弾いてみたくて、ある時期、機会があったからと解禁したけど、やっぱりロクに弾けなかった。自分のオケだったからまぁ許されましたけど、第二楽章は技術的に、第三楽章は表現として難しくて。セカンドがあまりに難しいので、1回目に乗った時はその時だけは第1ヴァイオリンにしてもらいました。
 それから、だいぶんヴァイオリン弾けるようになってきて、それでもきちんと弾いたのは2回だけです。その2回がね、じっくり練習すると、やっぱり名曲だなと思いますし、今では第三楽章が一番好きですね(セカンド、美味しい)。もちろん第四楽章はワクワクしますけど。そのほかフラッシュ・モブとかありますけどね(笑)。どこかで演奏できる機会があれば弾きたいな〜。タダトラで呼んでくれないでしょうか(爆)。

 今はただ、機会があったら演奏したいな(歌でもオケでも)と思いつつ、プロの良い演奏を聴ければそれはそれで幸せです。
 去年はLFJ2014の前夜祭、フラッシュ・モブで弾きましたね。今年は機会がなかったのですが、来年は演奏できるでしょうか? 少なくとも聴かない年はありませんが、今年はキエフで締めなのか、大晦日に年越し第九に行くかどうか、少し迷っているところです。

 ではみなさま、よいお年をお過ごしください。(年内にもう一度くらい書くかな?)

 12月半ばからシーズン・オンになり、仕事が少し一息ついたらオーケストラの練習が始まっています。2月3月に向け、例年のシーズンなので、ヴァイオリンもリハビリしつつ、、最近はピアノも少し弾いてます。2016年は室内楽もやりたいなぁ。

 本誌もどうぞよろしくお願いします。
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posted by rain2009 at 14:36| Comment(0) | music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする