2022年10月10日

2022年10月9日(日)ミューザ川崎シンフォニーホール

 「国際音楽祭NIPPON」の苦労した長文の記録が消えてしまい、ダメージからなかなか立ち直れない。ここにこれを書いて、また消えてしまうのだろうか? いったいどうなっているのだろう!? せめて下書きがどこかに残っていればいいが、blogの文章を下書き書いてアップする人はほとんどいないのではないか。少なくとも20年近く、基本的には私はそうしてきた。

■「指先で紡ぐ 踊りの音楽史」
 2022年10月9日(日)13:30〜15:45 ミューザ川崎シンフォニーホール
 阪田知樹ピアノリサイタル

 曲目/J・S・バッハ-阪田知樹編:アダージョ〜トッカータ、アダージョとフーガ BWV564より
  J・S・バッハ-ブゾーニ編:シャコンヌ〜無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番より
  シューマン:蝶々 作品2、シューベルト-リスト編:ウィーンの夜会 S.427&R.252より第6番
  ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ
  ガーシュウィン-アール・ワイルド編:7つのヴィルトゥオーゾ練習曲より3曲
  バラキレフ:イスラメイ
 (アンコール)ショパン:マズルカ 作品63-6、アルベニス:タンゴ、R・アーン-阪田知樹編: クロリスに

ともあれメモ的に書いておく(あとでどっかにバックアップしよう。不安だし)。

 この日はあまり調子が良くなく迷ったけれど、ダンナが川崎まで送ってきてくれた。「ここでお昼にしようね」と言っていた途中の牛丼屋がひどくて、席に着く前に出てきてしまったので、昼はバラ。回転ずしスシローは激混みだったので、リンガーハットにしようかと思ったが、ラッキーなことに鳥元に入れたので、そこで親子丼とぶっかけ蕎麦のセット(1,020円)を頼めてけっこう満足♪
 阪田くんのレポばかりしているのはどうかと思うが、今のところ、宮谷理香、阪田知樹、角野隼斗が現在私の3大追っかけピアニスト(とはいえ数が多いわけではない。また他にもいるけどめったに演奏会がないんだもん&弦楽器とオーケストラを仕事にしているので、このあたりまでが限界。弦とアンサンブルの多い人の演奏は数はもっと聴いてますが)なので仕方あるまい。
 この日は、「ともかくバッハとガーシュウィン」を聴きに行った。
 以前、本人がYouTubeに10代の頃のバッハのインベンションだか平均律だかの演奏をアップしていて、あまりの素晴らしさに絶句したことがある。彼の生演奏でバッハは聴いたことがない(プログラムに載せてないという意味でアンコールとかでは聴いたかも?)。
 席に座ってプログラムを開いて、やは、なんと「シャコンヌ」だ! ……実はワタクシ、あまり曲目気にせず行くことが多いです。ざっくり「これ聴こう!」と奏者と曲目で決めて、詳細に見比べたりはしない。いちいちやってられませんので。……そして、バラキレフ発見! いやーイスラメイ聴けるの? わーい😃
 先日、かてぃんのアンコールで「アイ・ガッタ・リズム」がステキだったと書いたら、誰かが「今度、阪田さんも弾くんすよね」みたいな書き込みがあって、それでこの「7つのヴィルトゥオーゾ練習曲」の中に、このパリのアメリカ人が入ってることを知った。う〜ん。別にそれはいいんだけど、ガーシュウィンのピアノ曲は、存在だけで素晴らしい。編曲大王の阪田くんなら、シンフォニックで、かつピアノ的でステキな演奏をしてくれるのではないか、という期待。

 予想通り、物凄く静謐に始まったアダージョ。彼らしい編曲は、けっこう余分な音を足すとかそういうのが案外無い。原曲を活かしつつ、歌を活かしつつ……導入としては良かった。深呼吸できた感じ。
 それにしても、ピアノ1台のリサイタルを大ホールで行うとき、ミューザのようなすり鉢状のホールというのは劇場的だ。オーケストラの時よりもダークに落ちた客席の照明。ぼっかりと中央にピアノ、管楽器の乗るひな壇もそのままに、ひとり歩いてきてピアノの前に座る。1,800の聴衆の意識がそこに向けて静かに波打っている……そういう感じ。

 そして続く「シャコンヌ」は、まぁ聴きものでした。弦楽器=ヴァイオリンの特性を最高にまで活かし、バッハがそのたために作った宇宙を、ピアノの表現力でどこまで生かすのか。ブゾーニ版は音が多すぎ、ごちゃごちゃしすぎている気がして、足して足して足してという風に見えてあまり好きではなかったのを、奏者でここまで変わるのでしょうかね。整理され、響かせるべき音と歌わせるべき音、演奏の引き算、和音の巧みな使い分け、その間を動く「忙しい指 (c) Sakata」の音の透明感。……完璧に構築されて凄いなと。頭の中に浮かぶ譜面は、何人かのベテラン奏者たちが提唱した全部を縮小コピーして一面に並べる見事な変奏曲の構造。川畠成道が解いて見せてくれた複数のラインで形作られる物語。この宇宙的な曲を、よくまぁピアノで表現したことか。
 ひとつには彼は本当にオーケストラも弦楽器も歌も好きで、それをピアノという自らの武器を使ってどのように表現するかを日々楽しんでいるからなのではないかと思う。弦楽器がどのような響きでこの曲を奏でるか、物凄くたくさんのパレットがイメージの中にあるのだろうと思う。でなければ、こんな「シャコンヌ」は聴かせられない。………ここで帰ってもいいぐらい満足した1曲でした。

 あとはもうそれぞれ感想はあるけど、楽しくあっという間の2時間弱だったから、今日は省略。

 やっぱり、「ブラームス室内楽全曲演奏ツィクルス」の記事が消えたショックは半端じゃない。どうしたらいいんだろう😢
posted by rain2009 at 16:40| Comment(0) | concert | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年04月05日

2022年4月3日(日)18:30 ミューザ川崎/上野通明(Vc)&阪田知樹(Pf)コンサート

 上野通明がジュネーヴ国際コンクールというチェロ界では大きなコンクールで日本人初という優勝の快挙を引っ提げ、昨年終わり頃から凱旋コンサートのようにいろいろ演奏会があり、聴く機会が増えています。
 もともと〈エール弦楽四重奏団〉という桐朋系の仲間たちで、ソロでもSQでもがんばっている、という面白い人たちで、最初の頃からずっと応援していました。現在、4人ともそれぞれコンクールで成果を上げたりコンサートで実績を積んだりしつつ、外国に留学中(とはいえコロナで日本にいるけど最近は)。その中での快挙だったので、いやまぁおねーさんは嬉しい★ というわけ。

 さて最近、追っかけと化している対象のおひとり、がピアニストの阪田知樹くん。
この人との邂逅は、別のアーティクルで書いたかなと思うので(うちのオーケストラでソリストしてくれて共演した、という超ラッキー)割愛。で、ともかく聴けば聴くだけすごいです。新しい面が見れる……てどんだけ持ってるんだよ。

 いやはや。ともあれ日曜日の感想文を、某SNSに上げたのですが、ここはクローズドで会員しか見られないので、一部転送します。

■上野通明 チェロ・リサイタル ピアノ 阪田知樹
 2022年4月3日(日) 18:30 ミューザ川崎シンフォニーホール

 物凄いコンサートでした。今、まさに旬の2人によるテクニックとかぶっ飛んでる演奏会です。
 同世代の2人、ご本人たちも仰ってましたが、「室内楽ではずいぶん昔から共演してきているのに、ガチでデュオって初めて」だそうで、これまた意外ですが確かにね。その意味でも2人の特別な個性がぶつかり、融合してまた新しい光を見せてくれたり、の時間だった。
 まずは選曲が凄い!
 阪田くんは、尊敬すべき”オタク"なので(<本業なので勉強家、とも言い換えられる)、プログラミングにもものすごく凝るヒトですが、今回はリストの《悲しみのゴンドラ》以外はすべて上野くんのプログラミングなんだそう。
 J・S・バッハ:ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのためのソナタ第2番
 ヒンデミット:無伴奏チェロ・ソナタ 作品25-3
 リスト:《悲しみのゴンドラ》
 シューベルト:ロンド h-moll(チェロ版)
  = pause =
 武満徹:オリオン
 ブリテン:チェロ・ソナタ第2番 C-dur
  = talk =
 アンコール/ブリッジ:春の歌

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 18:30に始まり終演は21:00過ぎてました。阪田くんのコンサートはいつも長いですが、今回も、わはは。う〜ん、キミはしゃべりでも食えるよ(笑)・全体に派手にパフォームするよりも内面的に追及していくような、それでいて宇宙的な広がりがあるような、そんな曲が多かったこの日。透明感があり怜悧で美しいの。彼らの精神の透徹が見えるようで、とても心地よく届くのと、頭の中を清涼にしていってくれるような気がした。

 個人的には冒頭のバッハとラストのブリテンがど真ん中でした。ほんっとに素晴らしかった。正直、バッハがこんなに「来る」とは思いませんでしたが、最高でした。2人が2人とも、近現代曲の演奏が凄いのはよく知っている。(聴けば感動! 阪田 with N響のショスタコーヴィチの1番とかすごかった!)しかしバッハ! 音が耳に残るほど印象的でしたね。
 バッハの軽やかで美しいメロディとハーモニー。ピアノで弾いているとは思えないような、モダン・チェロで弾いているとは思えないような見事な造形。すいっと胸に落ちてくるようで、いやぁ好きだなぁ。

 2曲目、ヒンデミットの無伴奏。ヒンデミットもいいよね、ヴィオラでもチェロでも。いやぁぐいぐい来る。上野くんの現在がほの見えるような音色の多彩さとか、音程や技術の確かさとか。伸びやかな音のアプローチ……これが一番かな。
 ……ちなみに前半の3曲はすべて、彼がコンクールで演奏した曲。研ぎ澄まされた到達感、みたいなのが迫ってきてとても良かった。

 さてリストなら阪田選曲だなと思っていたら、やはりそうだった「悲しみのゴンドラ」。一転して静かで深く。なんか闇の中に浮かぶ水盤に水滴が落ちていくような、でもやっぱりリストだなというような。

 そしてシューベルトは、……ヴァイオリン曲だよね、何度も聴いてるはずですが妙に新鮮。でもねーシューベルトって難しいんですよね。音がシンプルなだけに。この2人は若々しく、しかも熟練の味を持って弾き切ってくれましたけど、案外にこれが一番難物だったんじゃないかな。

 休憩挟んで次は武満。この「オリオン」、本当に星座の声のような音楽で。タケミツも好きだ〜〜! ピアニストが曲の途中で突然立ち上がるのでなんだ?と思ったらピアノの弦をツメ(?)ではじく。武満の音楽は「間/行間」がとても大切だと思うのですが、これが2人ともスバラシ! いい音楽でしたね。

 そしてそして。ワタクシはブリテンが好きです! この間の某上野の音楽祭でのブリテン(ノアの洪水)が聴けなくて超悔しい思いをした。数年前、ザルツブルクまでBPOの《ピーター・グライムス》聴きに/観に行ったのはシアワセだったなぁ。ついでにウィーンまで足を伸ばして、やはり同じオペラを違う演出/指揮者/オーケストラ=WPOで観て聴いた。
 さてチェロには(弦楽器には。歌にも。)ブリテンの良い曲がたくさんあり、チェロソナタは3曲。この第2番はあまり演奏されないらしい。ところが上野くんは卒業演奏にこの曲を演奏し、賞を獲っているのだそうな。お得意だと思います。もう満喫、素晴らしかった。良いですよね。

 万雷の拍手。鳴りやまず。アンコールはやるよなぁ、と思ったら、2人ともマイクを持って登場。阪田くんがインタビュアー。彼は自分の演奏会でも曲の由来とか作曲家のこととか、プログラミングのコンセプトとか、結構解説するけど、話の持って生き方とか上手いね。さすが! だいたいクラシック音楽の演奏家ってMCが下手すぎ(だらだら長かったり身内ネタになったり、緩急なかったり)だけど、阪田くんは評価してる(多少は長いけど)。新倉瞳ちゃん(チェリスト)もなかなか上手ですけどね、そのへんはポップスの人たちを見倣ってほしいといつもは思っているけど。で、阪田くんのは楽しいぞ。

 アンコールはブリテンの師匠のブリッジ。この「春の歌」は、この日のアンコールにふさわしい美しい曲でした。
 本当に、堪能しすぎて帰りの東海道線(がら空きだった)では、ほけぇとしたまま。折から振り出した雨がしとしと窓外を走って、いつの間にか地元駅にたどり着いたような気がします。
 また演ってほしいなぁと思うけど。この曲目であれだけの満員の聴衆って、やはり2人の魅力なんでしょうね。ブラボー。
posted by rain2009 at 00:17| Comment(0) | concert | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年10月11日

ARKクラシックス 公演3:三浦文彰と辻井伸行とオーケストラが凄かった件(10月9日)

【ARKクラシックス 公演3/バッハ&ショスタコーヴィチ】
2021年10月9日(土)19:00〜20:45

 三浦文彰(Vn)と辻井伸行(Pf)がリーダーとソロを務める音楽祭。魅力的なプログラムとアーティストさんたちで、全8公演聴きたかったほどですが、この日の2公演を拝聴。サントリーホールで行われていて、主にブルーローズ(小ホール)。
 夜公演の【3】は協奏曲もあるしARKクラシックスというオーケストラも乗るし、まさかブルーローズとは思わなかったのですが、ブルーローズでした。なんと贅沢な!

 そして辻井くん! お見それしました。……失礼な話ですが、驚きでした。
 私の周りにも彼のファン(ギョーカイ人でなく)のお姉さまたちは多く、チケット取りを頼まれたりもしたことがあるぐらいですが、私自身は「良いピアニストだね、うん」というぐらいで、比較的聴いている方ではあるのですが、特にプラスアルファでどう、とは思ったことがなかった。なので、ショスタコーヴィチの第1番の協奏曲をどう弾くのか? これには興味というか期待半分不安半分ではありました。それが、素晴らしかったですね!
 ……実は先日。ワタクシ個人的にファンを自任している阪田知樹くんでN響で聴いたとこで、これはまた素晴らしい、かなりイっちゃってた演奏が彼らしくて内心大絶賛でしたが、今日のこれは! 一種あっちの世界みたいな激しさを、あの美音をつむぎだす指からたたき出す辻井くん。本日の辻井くんは、これまで見てきた彼の音楽とは別の表出で、いやぁ素晴らしかったです。
 オーケストラもっ!!
 ブランデンブルク協奏曲(J・S・バッハ)第5番の第1音目が鳴ったときのARKシンフォニエッタの響き! これをブルーローズ(小ホール)で聴くという贅沢!! びっくりですよもう。たった各プルト2人という編成でこの音。ディナミークの幅もさることながら音の美しさと、舞台の箱型の床が共振する響き。……メンバーもね、上手い人集めただけじゃないんですよね、幅広くオーケストラ巧者で三浦くんが信頼している人たちの集まり。指揮の太田弦も音楽つくり抜群ですね(ショスタコーヴィチのみ指揮あり)。

 ともかくこのピアノ協奏曲そのものがあまり生演奏聴けないので、らっぱの辻本憲一さんを聴きたいなと思ってたショスタコーヴィチでしたが、第一楽章から激しいところの音楽の表出と、絶品の第二楽章でしたね。拍手が鳴りやまず、、、でした。
 5時間の空き時間にメゲずに会場に戻って良かったなぁ(笑)。もうショスタコの間中、実は震えというかゾクリとくるものが収まらなかったほどでした。……私はショスタコ大好きです。この第二楽章とかときどき自分でも弾いて遊んでるぐらい好き♪ だからプロのものすごい演奏を聴くと、感動を通り越して慟哭してしまいますね。

 ついでに言ってしまうレベルではなく素晴らしかったのですが、個人的にも大ファンの三浦パパと文彰くんのドッペルも、ブランデンブルクのチェンバロ(曽根さん)、フルート(高木綾子さん)も絶品でした。うーん、オケもだよ〜。雰囲気もだよ〜〜。よく存じ上げてる方々ばかりが舞台に乗ってるだけでも幸せですはい。本当に贅沢な演奏会でしたね♪

◎ARKクラシックス 公演3  2021年10月9日(土)19:00〜20:45
  三浦文彰・三浦章宏(ヴァイオリンsolo)、高木綾子(フルートsolo)、辻井伸行(ピアノsolo)、曽根麻矢子(チェンバロ)、辻本憲一(トランペットsolo)&ARKクラシックス(オーケストラ)

 J・S・バッハ:ブランデンブルク協奏曲第5番、2台のヴァイオリンのための協奏曲
 ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第1番

   ・・・
 この日は実は昼のラヴェル【公演2】が気持ち的メインだったのですが、期待値が高かっただけにかなりがっかりしていたのです。ピアニストは良いピアニストで若い頃聴いて嫌いではなかったのですが、まず「水の戯れ」が、惜しいというか残念感満載。テクニックも音も素晴らしいのですが、フレーズのつなぎ方とか、演奏の都合で丸めてしまうところが諸所に見られ、、、てか楽譜置いた時点で(置いただけでなくガン見してましたね)あれれ、だったのですが、詰め不足か練習不足か。曲の構造的には完璧作っておられたので、ダメダメってことはないだけに、惜しい感じが満載。
 2曲目、三浦くんが加わってのヴァイオリン・ソナタ。難しい曲なんですが、これの方が少しよかった。音はまろやかなのにピアノとヴァイオリンが喧嘩するようなところが多々あり、ただラヴェルはそういう音楽でもあるので上手くやれば、むしろぴったりなんですが、なんだろうこの違和感は。。。やっぱり途中楽章から「う〜ん……」になってしまって。ふと気付いたのですね、あぁそうか。素晴らしい音色を作っておられるのですが、ほぼ1色しかないのでは、、、ラヴェルって音色のきらめきと沈んだような音色と。耳障りなほどの音を出したかと思うと空気になったような表現も必要で。フランス音楽の特徴としてシーンごとの色の変化がないといけないのですが、それが感じられなかったのか。テクニック的にはほぼ完璧な感じがする。この曲は勉強したことがないので(難しすぎて)、1曲目ほど細かいところまでは言及できないのですが、やっぱり途中で飽きた。
 3曲目。ピアノトリオはまたもう少しよかった。代役で弾いた遠藤真理が、さすがの筆致でまとめていき、弦2人も微妙に音律感が違う気もしましたがそこは2人とも一級。ピアノも尻上がりに良くて、最後はなんとか良い演奏でしたね、と終わりました。
 客席の拍手は半端なくて、皆さん大盛り上がり。。。そーなのかな? と午後のサントリーホールを後にしたのでした。

◎ARKクラシックス 公演2  2021年10月9日(土)13:00〜14:15
  三浦文彰(ヴァイオリン)、遠藤真理(チェロ)、高木竜馬(ピアノ)

  ラヴェル:《水の戯れ》(Pfソロ)、ヴァイオリン・ソナタ(Vn & Pf)、ピアノトリオ(全員)

⭐︎このarticleは、FBグループ「クラシックを聴こう」に投稿したものを加筆修正したものです。
posted by rain2009 at 10:23| Comment(0) | concert | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月21日

「交響曲 獺祭〜磨migaki〜」コンサート−日本センチュリー響(8月18日)

■獺祭コンサートー日本センチュリー交響楽団

……というのが行われました。日本の新しい銘酒「獺祭(だっさい)」。山口県に本拠地を置く日本酒ですが、災害で蔵がダメージを受け、しかし立ち直っていまも頑張っている旭酒造さんのお酒です。
 お酒に音楽を聴かせて育てたらどうなるか−−モーツァルトのワインとか一時期流行りました。個人的には(どうよ?)と思っていますが、それを本気で企画から立ち上げるというのは、ある種、夢はあるなぁという気持ちもあります。言い出しっぺは日本センチュリー交響楽団で首席指揮者を務める飯森範親。(なぜ山響でなくセンチュリー響だったのかは謎ですが、)ともあれ作曲家・和田薫、センチュリー響と共に2年かけて旭酒造と詰めつつ、新酒と交響曲−−お酒の人生?をテーマにした交響曲が生まれました。
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 「発酵と熟成……ぐらいだったら影響があるかもしれないねぇ」という社長さんのお言葉でまずは2曲。音響のプロの方が音を振動(揺れ、ですね)に変換して実際にお酒に与えたそうですが、1回目の挑戦では社長のGoが出ず。「これでは、、、」ということで2回目さらに質の改善に(お酒の、ですよ)務め、それで商品として世に出せるものができたのだとか。それが「獺祭『磨(mifaki)』」となりました。

 音楽の方は、「それなら交響曲に」としてセンチュリー響のレパートリーに、と当然なるわけで。実際は交響曲にするにあたって3曲書き加え、5楽章構成となりました。
 地元山口での初演、オーケストラの地元大阪での大阪初演と来て、東京では「グランドプリンスホテル新高輪の飛天の間」での上演。社長さん曰く、「音楽とお酒と美味しい料理は共に」とのことで、2,000人入る会場のステージ上にはフルオーケストラ、客席テーブル間仕切りの上各4席だけ、という贅沢な空間に、和田薫自身の指揮による「交響曲 獺祭〜磨 migaki〜」が鳴り響きます。
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photo by (c)日本センチュリー交響楽団

 指揮者が飯森→和田(飯森さんご病気によるピンチヒッター)に代わったことにより前プロは、和田薫が同楽団のために書き下ろした《祝響〜日本センチュリー交響楽団のためのファンファーレ》に変更。素敵な響きの音楽で、また管楽器もすばらしい!
 そして約40分強の中に、緩急も物語もある曲。「獺越(おそごえ)」「発酵」「酔心」「熟成(AGING)」「その先へ(BEYOND)」と名付けられた5章は、それぞれ特徴のあるカッコいい曲です。
 お酒が育てられる山口県の豊かな自然、山や海と空気、そして酵母の発酵や動き、人々の働くさま、樽や機械の動くさま、時間の流れ・・・なんだか目に見えるようで。大河ドラマかNHKスペシャル〜蔵元を訪ねて、、、か?という感じで始まりますが、細かい音作りが洗練されていてさすが和田薫。
 情緒的な流れの中にも西洋と和の融合があり、リズミカルな5拍子に内面的な熱い情熱のようなもの、酒にかける人々の労力や心が感じられるようで。……単純に曲として聴いてもイイ曲なのです。って個人的に和田さんの曲が好きというだけかもしれませんけれども。伊福部の流れを汲みながらも、まったくそうではない立ち位置というか。和のテイストを持ちながらもきっちり西洋音楽の、奇を衒わない作りというのか。皆さま機会がありましたら彼の音楽を聴いてみてください。
 日本センチュリー響は、とても良いオーケストラです! と言ってしまいますけれども、アンサンブルが良く、また良い意味でpunktolischeでない。揺れが美しい、響きのシャープな、また技術的にもしっかりしたオーケストラだと思う。実は注目しています。前日の東京オペラシティでのキャラバンコンサートは残念ながら聴けなかったのですが、また是非聴きたいですね。

 その後、お楽しみのディナーはサーモンを基調にした彩鮮やかな前菜、がっつり牛肉の赤ワイン煮を季節の野菜を添えて。そしてシャーベットを盛ったデセールと、いやぁ皆、本当に「お酒が欲しかった!」という言葉が何度も出てました。
 獺祭は出せないまでもその素材と製法から作った炭酸水、入口にはアルコール消毒液などもあり、皆さん工夫されている由。
 素晴らしい音楽とお料理の一夜(といっても夕方早めに始まり20時には撤収。見本のような会でした)。オーケストラの皆さんに直接お会いできなかったのが寂しいですが、皆さまお疲れ様でした。久石譲さんが首席客演指揮者になられて、彼のオーケストラ曲も定期演奏会の中に組み込まれていくなど特徴を作ろうとしているオーケストラです。また定期も聴きたいなぁ、と思いながら会場を後にしたのでした。
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posted by rain2009 at 14:22| Comment(0) | concert | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年8月前半のコンサート

 さて書ききれなかったので、8月は別にしようかと。
 川崎詣でから始まります。


■8月のコンサート

◎8月3日(火)15:00 フェスタサマーミューザkawasaki/神奈川フィル−鈴木秀美(ミューザ川崎)

【中止】8月4日(水)14:00 オペラ「マイスタージンガー」(東京文化会館)

◎8月4日(水)19:00 フェスタサマーミューザkawasaki/京都市交響楽団−広上淳一(ミューザ川崎)

◎8月6日(金)19:00 周防亮介ヴァイオリンリサイタル(トッパンホール)

◎8月7日(土)15:00 フェスタサマーミューザkawasaki/日本フィル →「ほぼ日」にレポ書きました。リンク先の「8月8日 第16号」からお読みいただけます)

★8月14日(土)14:00 合奏団ZERO 第26回定期演奏会(★これは出演。シューマンのピアノ協奏曲&ベートーヴェンの交響曲第3番《英雄》。指揮は松岡究、ピアノ独奏は佐藤元洋)

◎8月15日(日)13:30 上森祥平バッハxブリテン無伴奏全曲演奏会(東京文化会館・小)

▼8月17日(火)13:00 ミュージカル『ジェイミー』 (★腰痛により諦めました涙)

◎8月18日(水)18:00 獺祭コンサート〜日本センチュリー響(グランドプリンス新高輪・飛天の間)

・・・と今に至ります。今月はまだあるのでまた別途書きますけど。
18日の獺祭コンサートについては、FBの「クラ聴こ」グループに投稿したのですが
公開ではないので、後ほどリライトしてアップ予定。

posted by rain2009 at 14:02| Comment(0) | concert | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする