2021年10月9日(土)19:00〜20:45
三浦文彰(Vn)と辻井伸行(Pf)がリーダーとソロを務める音楽祭。魅力的なプログラムとアーティストさんたちで、全8公演聴きたかったほどですが、この日の2公演を拝聴。サントリーホールで行われていて、主にブルーローズ(小ホール)。
夜公演の【3】は協奏曲もあるしARKクラシックスというオーケストラも乗るし、まさかブルーローズとは思わなかったのですが、ブルーローズでした。なんと贅沢な!
そして辻井くん! お見それしました。……失礼な話ですが、驚きでした。
私の周りにも彼のファン(ギョーカイ人でなく)のお姉さまたちは多く、チケット取りを頼まれたりもしたことがあるぐらいですが、私自身は「良いピアニストだね、うん」というぐらいで、比較的聴いている方ではあるのですが、特にプラスアルファでどう、とは思ったことがなかった。なので、ショスタコーヴィチの第1番の協奏曲をどう弾くのか? これには興味というか期待半分不安半分ではありました。それが、素晴らしかったですね!
……実は先日。ワタクシ個人的にファンを自任している阪田知樹くんでN響で聴いたとこで、これはまた素晴らしい、かなりイっちゃってた演奏が彼らしくて内心大絶賛でしたが、今日のこれは! 一種あっちの世界みたいな激しさを、あの美音をつむぎだす指からたたき出す辻井くん。本日の辻井くんは、これまで見てきた彼の音楽とは別の表出で、いやぁ素晴らしかったです。
オーケストラもっ!!
ブランデンブルク協奏曲(J・S・バッハ)第5番の第1音目が鳴ったときのARKシンフォニエッタの響き! これをブルーローズ(小ホール)で聴くという贅沢!! びっくりですよもう。たった各プルト2人という編成でこの音。ディナミークの幅もさることながら音の美しさと、舞台の箱型の床が共振する響き。……メンバーもね、上手い人集めただけじゃないんですよね、幅広くオーケストラ巧者で三浦くんが信頼している人たちの集まり。指揮の太田弦も音楽つくり抜群ですね(ショスタコーヴィチのみ指揮あり)。
ともかくこのピアノ協奏曲そのものがあまり生演奏聴けないので、らっぱの辻本憲一さんを聴きたいなと思ってたショスタコーヴィチでしたが、第一楽章から激しいところの音楽の表出と、絶品の第二楽章でしたね。拍手が鳴りやまず、、、でした。
5時間の空き時間にメゲずに会場に戻って良かったなぁ(笑)。もうショスタコの間中、実は震えというかゾクリとくるものが収まらなかったほどでした。……私はショスタコ大好きです。この第二楽章とかときどき自分でも弾いて遊んでるぐらい好き♪ だからプロのものすごい演奏を聴くと、感動を通り越して慟哭してしまいますね。
ついでに言ってしまうレベルではなく素晴らしかったのですが、個人的にも大ファンの三浦パパと文彰くんのドッペルも、ブランデンブルクのチェンバロ(曽根さん)、フルート(高木綾子さん)も絶品でした。うーん、オケもだよ〜。雰囲気もだよ〜〜。よく存じ上げてる方々ばかりが舞台に乗ってるだけでも幸せですはい。本当に贅沢な演奏会でしたね♪
◎ARKクラシックス 公演3 2021年10月9日(土)19:00〜20:45
三浦文彰・三浦章宏(ヴァイオリンsolo)、高木綾子(フルートsolo)、辻井伸行(ピアノsolo)、曽根麻矢子(チェンバロ)、辻本憲一(トランペットsolo)&ARKクラシックス(オーケストラ)
J・S・バッハ:ブランデンブルク協奏曲第5番、2台のヴァイオリンのための協奏曲
ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第1番
・・・
この日は実は昼のラヴェル【公演2】が気持ち的メインだったのですが、期待値が高かっただけにかなりがっかりしていたのです。ピアニストは良いピアニストで若い頃聴いて嫌いではなかったのですが、まず「水の戯れ」が、惜しいというか残念感満載。テクニックも音も素晴らしいのですが、フレーズのつなぎ方とか、演奏の都合で丸めてしまうところが諸所に見られ、、、てか楽譜置いた時点で(置いただけでなくガン見してましたね)あれれ、だったのですが、詰め不足か練習不足か。曲の構造的には完璧作っておられたので、ダメダメってことはないだけに、惜しい感じが満載。
2曲目、三浦くんが加わってのヴァイオリン・ソナタ。難しい曲なんですが、これの方が少しよかった。音はまろやかなのにピアノとヴァイオリンが喧嘩するようなところが多々あり、ただラヴェルはそういう音楽でもあるので上手くやれば、むしろぴったりなんですが、なんだろうこの違和感は。。。やっぱり途中楽章から「う〜ん……」になってしまって。ふと気付いたのですね、あぁそうか。素晴らしい音色を作っておられるのですが、ほぼ1色しかないのでは、、、ラヴェルって音色のきらめきと沈んだような音色と。耳障りなほどの音を出したかと思うと空気になったような表現も必要で。フランス音楽の特徴としてシーンごとの色の変化がないといけないのですが、それが感じられなかったのか。テクニック的にはほぼ完璧な感じがする。この曲は勉強したことがないので(難しすぎて)、1曲目ほど細かいところまでは言及できないのですが、やっぱり途中で飽きた。
3曲目。ピアノトリオはまたもう少しよかった。代役で弾いた遠藤真理が、さすがの筆致でまとめていき、弦2人も微妙に音律感が違う気もしましたがそこは2人とも一級。ピアノも尻上がりに良くて、最後はなんとか良い演奏でしたね、と終わりました。
客席の拍手は半端なくて、皆さん大盛り上がり。。。そーなのかな? と午後のサントリーホールを後にしたのでした。
◎ARKクラシックス 公演2 2021年10月9日(土)13:00〜14:15
三浦文彰(ヴァイオリン)、遠藤真理(チェロ)、高木竜馬(ピアノ)
ラヴェル:《水の戯れ》(Pfソロ)、ヴァイオリン・ソナタ(Vn & Pf)、ピアノトリオ(全員)
⭐︎このarticleは、FBグループ「クラシックを聴こう」に投稿したものを加筆修正したものです。