2017年09月30日

9月の雨。

 9月は、たくさん、行った。そういう時は疲れてしまって、なかなか書けないので溜まってしまう。朝起きて、仕事行って頭使って、疲れて夕方18時に切り上げてコンサート。そりゃコンサートは楽しみだけど、1日の(特に頭の)疲れで、眠いのも確か。演奏がよければ元気にもなるけれど、ご飯食べ終わって22時半、さすがに家に帰って沈没するだけ。
 以前は、そのあと会社に戻って深夜まで仕事したり、家に帰ってから「おた活動」したりしてた。これはさすがに歳ですな、、、時間が有効に使えなくなって残念。

 さて、9月のコンサート。

⚫︎9月6日(水)19:00 東京芸術劇場 読売日本交響楽団 定期演奏会

⚫︎9月8日(金)18:45 名古屋フィルハーモニー交響楽団 定期演奏会

⚫︎9月11日(日)東京都交響楽団

⚫︎9月15日(金)19:00 サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン(CMG)
  オープニング &(その後の)懇親会

⚫︎9月16日(土)19:00 [CMG]アジアンサンブル
  出演:成田達輝(Vn)、宮田大(Vc) 他

⚫︎9月17日(日)15:00 東京文化会館
  バイエルン州立歌劇場管弦楽団、指揮:キリル・ペトレンコ

⚫︎9月20日(水)15:30 お台場:松竹映像センター
  映画:ミュージカル『ホリデイ・イン』マスコミ試写会

⚫︎9月21日(木)18:30 新国立劇場・中劇場 ミュージカル『デス・ノート』

⚫︎9月22日(金)13:00 [CMG]プレシャス 1 am
  出演/川本嘉子(Va)、吉野直子(Harp)、上野由恵(Fl)

⚫︎9月22日(金)19:00 [CMG]アンサンブルの楽しみ
  出演/ヘーデンボルク・トリオ

⚫︎9月23日(土祝)16:00 大阪・いずみホール ウィーン週間
  コンチェルト 出演/いずみシンフォニエッッタ大阪、小栗まち絵、タマーシュ・ヴァルガ、ブフビンダー

⚫︎9月24日(日)16:00 宝塚ベガホール
  弦楽トリオ:ロータス・カルテット シューベルト:弦楽三重奏曲

⚫︎9月27日(水)19:00 Bunkamuraオーチャードホール「トランスシベリア音楽祭」
  『Amore』 バレエとパフォーマンス ザハロワ 他

⚫︎9月28日(木)19:00 浜離宮朝日ホール
  宮田大チェロリサイタル 共演/ジュリアン・ジェルネ

⚫︎9月29(金)〜30日(土) 仙台クラシックフェスティバル

・・・仕事とはいえまぁよく聴きました。
ほぼ半分ほどが記事になっていますので、「サラサーテ」本誌を見てね。
掲載しなかった分については、そのうち書き足します。
posted by rain2009 at 13:00| Comment(0) | report_記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月04日

時間と土地の記憶・・・と音楽と。

 子どもの頃から、「思い出」という言葉が嫌いだった。ただし、この年齢になると、ある音楽、ある匂い、ある場面で、ふっとその頃のことをフラッシュバックのように鮮明に思い出すことがある。それを懐かしむことや、その時間に精神が飛ぶことは、けっして悪いことではない、ような気もする。懐古、とそれは違うことのようにも思うから。涙が湧く、というのは仕方ないことだろうし。

 9月のある日曜日。知己の作曲家が歌曲集を編み、それを含んだ歌手とピアニストのCDがリリースされるにあたって、その曲目で構成されたリサイタルを聴く。この日は本当にコンサートが重なる日で、どれも行きたくて、どれも断りきれなくて、直前まで、どうしようと悩み、同僚に振り、それでも一つ二つ失礼をしてしまったので。このコンサートも本当は諦めていたのだけれども、取材が午前中に入ったりの偶然が重なって、行けることとなった。
 ところが同級生たちは、行く予定でいて。それで私も行くことになっていたらしい。ひとつボタンを掛け違えば、面倒なことになっていただろうと思うけれども。結果として、素晴らしい一日となった。

               ・・・
 このような仕事をしていれば、時折、音楽を見失う。
 毎日毎日、音楽に囲まれ、音楽を聴き、音楽家と会い、話をして、取材したり書いたりして、常に音楽に接する場所にいる。だから、満ち足りているともいうのだけれども、時折(それは仕事だから仕方ないのだけれども)様々な側面裏面を見過ぎて、「その音楽がただ素晴らしい」ことを見失うのだ。

 このblogにも時々登場する高校の先輩で作曲家の笠松泰洋さん。あるジャンルでは超有名人であり実力派だけれども、世間的に紹介するとすれば「あの蜷川幸雄と長い間、一緒に仕事をしていた人」というのが、今でも最も短い説明で事足りる。
 もちろん、クラシック音楽(現代音楽)作曲家であるので、劇判ばかりでなく、純音楽でも弦楽四重奏曲はニューアーツQ、安田Q、ウィーンQ、Qエクセルシオたちが演奏した名曲があるし、コントラバスや歌の協奏曲も書いている。ヴァイオリンソナタやピアノ曲ももちろん、オペラ的な作品も何作も作っている。
 そんな中、初めての歌曲集が、ソプラノ歌手・広瀬奈緒のリサイタルに合わせて発行された。彼女の得意とするイギリスの古い歌のピアノ伴奏編曲版と、自身のオリジナルから5曲選んだ楽曲。

 楽譜もCDも売られていたので、むさぼるように購入したのだが、歌曲の5曲は本当にすばらしい。・・・というか、私はもう本当にこれらの曲が好きで、その日の夜、別の仕事で別の演奏会に行ったのだけれど、夜遅く帰って防音のきいた部屋で、2時間近く、歌い続けてしまった。そのくらい好きな曲なのだ。

 何故、出たばかりの曲を、そんなに好きかというと、そのうちの2曲が最初に作られたのは、1978年。高校の校内合唱コンクールの課題曲としてだったから。当時、先輩が三善晃の門下となり1年、19歳の時の作品なのだ。
 全校生1,000人を超える生徒が、そのうちの1曲「足羽川」(作詞は室生犀星)を歌った。私は合唱部だったので、部のシゴトと、クラスに帰っては伴奏を弾き、指揮をし、指導もして皆と共に。もう1曲は一般高校生が歌うには難しすぎ、彼の所属していた吹奏楽部の面々を中心とした、“部室長屋”と呼ばれていたすっとんきょうなクラブの面々(私は漫研とSF研にいた)と生徒会のメンバーで、音大へ行った仲間がピアノを弾き、作曲者じきじきの指導で歌ったのだった。
 リサイタルの日、東京にいた2学年にわたる同窓生たちは10人を超えて客席にいたのではないだろうか。初演の指揮者(吹奏楽部の副部長だった)も隣の席(笑)で。一緒に歌った仲間たちも。数十年を経て、この曲が歌曲として生まれ変わった瞬間を聴いたのだった。

 思い出したのは足羽川の風景と、あの高校時代の合唱コンクールへ向けた校内の華やぎ。勉強は厳しかったけど、部活も盛んで、何にでもわりと真剣で、いい加減だった高校時代そのものだ。そして、相当に頑張って良いレベルまで行ったなと思った本番の演奏と。そのもう1曲は「感傷旅考」という(作詞は川上明日夫)。私は、集められたメンバーで歌ったこの曲が大好きで、ソプラノだったためほぼ旋律だったし、その後も、一人でずっと歌っていた。楽譜になったものを見て、他パートに旋律が行っていた一か所以外は、記憶の通りだし、素晴らしいピアノ伴奏もほぼそのままなので、すんなり歌える。ほぼ暗譜しているからね。
 笠松歌曲5曲で構成されたリサイタルの後半は、「ラクリモザ」で始まった。典礼文を歌詞にしたこれは、蜷川演出の『メディア』(主演:大竹しのぶ)(ギリシャ悲劇の『王女メディア』蜷川版)の中で使われた曲。そして是枝和裕監督作品『ワンダフルライフ』のために書かれた「レクイエム」と続き、「足羽川」「感傷旅考」。ラストは俵万智の短歌より5編から作られた「いのちとは」で終わる。
 俵万智も同じ高校で、私より1級下に当たる。在学中の行き来といえば、合唱部でオペレッタを初めて行った時に、当時、演劇部だった彼女とその親友(Yさんといい、彼女とは私は仲良かった)が発声と演技指導に来てくれた、というくらいしか面識がない。ただ、「一緒に何か作ろう」という意味で“共闘”した記憶は、とても鮮明で、あの時の、音楽室の情景さえ思い浮かぶ。
 仙台出身の歌手・広瀬さんと、俵さんは3.11の際、仙台で被災した。その時の祈りの想いから作られた曲で、作曲家と、この3人の出会いがなければ生まれなかっただろう。

 「出会い」という言葉も陳腐化して久しいが、そうとしか呼べないものが、このコンサートには満ちていて、聴衆としてそこに居た我々も、その誕生に立ち会った記憶も。そこから伝えられて、また新たに生まれて。だから「足羽川」が歌われた時に、水面のキラキラした光を模したピアノの響きが、その時の空気の感じまで持ってきてくれ、しばしその時空に遊ぶ。歌とピアノの美しさに時間を忘れる、、、というよりも、「音楽」というものを改めて見つめたような気がしたのだった。

 嬉しかったのは、広瀬奈緒という歌手のことを聴きに来た、おそらく合唱団などで歌っているだろう聴衆も多く、彼らは作曲家については、ほぼまったく知らなかっただろうと思うのだ。その彼女たちがこぞって楽譜に群がり、曲を聴いて喜ぶ……それは何か伝わるものがその中にあったからだと思う。
 知己の評論家が居て、話すことができた。一本筋の通った彼が、“この作曲家を知ったこと”を喜んでくれたことが、何よりものお土産だったようにも思う。

『空の記憶 水の記憶』
 。。。CDも出てます。歌/広瀬奈緒、ピアノ/今川裕代
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 終演後のサイン会にて。お三方です♪
posted by rain2009 at 21:55| Comment(0) | article | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月01日

8月の雨。

 8月は「【は】しる」・・・なんていう言葉はありませんが、毎年、暑いというのに夏休みどころか、とても忙しい月だったりします。
 今年も、「あっ!」という間に過ぎた感じ。アマオケ者は、本番が多い、という所為もありますね。世間が休みだと我々は動く・・・みたいな。

 8月20日(日祝)14時、杉並公会堂
  所属しているオーケストラの第19回定期演奏会。
 モーツァルトのピアノ協奏曲 c-mollを小林亜矢乃さんのピアノで。
 ブルックナーの交響曲第7番。いや、めっちゃええ曲でした、どちらも。“疾走する哀しみ”と言われたハ短調を、陰影のあるフレーズ感も音色も素晴らしいピアノと共演。
 ともかく名曲! としか言いようがない、1楽章から4楽章まで、スキなく構築された、でも、ゆるゆるなところがステキなブルックナーを。けっこう練習には出られた(最初の2回ほどヘクりましたが)ので、満足というか、弾いた気がするというか。音楽の中に没頭したかったのですが、しかし校了日前後と重なるという不幸で、最後の1週間が、ブルックナーにのめり込めなかった(シゴトで)のが残念。もっと浸って、もっと弾き込みたかったですね。でも、その音の中にいるだけで幸せでしたわ。

          ・・・
 さて、聴いたステージ。
 必然、芝居が多いです。

●8月1日(火)19:00 TBS赤坂アクトシアター 『ビリー・エリオット』
  5人の子ども主役のうち、加藤航世くんの日。あまりのバレエの美しさに(他のダンスや歌や芝居も凄かったけど)、いったいこの子、いくつ!? と思ったけど、あとでパンフレットを読んで納得。すごいミュージカルでした(他のキャストや演出も、音楽も素晴らしい!)

 これ以降、取材・執筆・入稿・校了になるため、レッスンとオーケストラ以外は極力行ってない。校了は8月22日。それ以降。

●8月24日(木)19:00 中野 ザ・ポケット『航路』 劇団 男魂(メンソール)
  久々に見たストレートプレイ。団地のコーラスサークルに様々な過去を持った家族が集い、発表会で「第九」を歌うを目指し練習を重ねる。列車で行きずりの男2人が語り手となり、確執のある親子が登場。やがて物語は一つの糸となり、それはベートーヴェンの調べに呼び起されて……。てな内容で、まぁベートーヴェンは、テーマになっていた「第九」より、「Ich Libe dich」の方が劇的でしたが。感動したー。

●8月25日(金)19:00 sonorium(永福町) 森田啓佑 チェロ・リサイタル
  素晴らしかった。特にベートーヴェンなど骨太で、見事な技術と音楽で。豊かだったし。成長の聴ける若手の演奏は、本当に心が洗われる。・・・絶賛されてたショスタコーヴィチは、曲の解釈が、ちと腑に落ちない。演奏は素晴らしかったんだけど。パガニーニもチャイコフスキーも、ぶらぼーでした。

●8月26日(土)16:00 新国立劇場中劇場『ミカド』
  いやもう素晴らしかった! ・・・これは記事に書くので、ここではあまり触れない。まぁもうほんと、脚本といい演出といい、キャストといい、抜群。

〇8月27日(日)17:50 池袋・グリーンシアター
  いわゆるひとつの発表会。NYの娼館を舞台にした青年とその妹、仲間たちの、物騒で心温まる音楽劇。ただし出演者はアマチュア。

●8月31日(木)18:00〜夜中 東京文化会館
  第15回東京音楽コンクール 弦楽器部門本選 →オシゴト。次号の雑誌を見てね

・・・涼しくなってきたけど、夏の疲れが出る季節だね。
9月になって、めちゃめちゃな頻度でコンサートが回っていく。次はそのレポート予定。
posted by rain2009 at 20:41| Comment(0) | report_記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする